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マボロシ

ここしばらく異常な量の原稿と格闘しています。





〆切ももう遠くありません。
それなのに次女を預けていた保育施設の一時保育ができなくなってしまって、
それなのに頼みの夫も激務期に突入して帰宅が日付をまたがない日はないというくらいになってしまって、
それなのに長女の幼稚園行事がこの暑さの中立て続けに執り行われて、
それなのに子どもたちは順繰りに体調を崩して、
それなのに・・・・・・。

昨日も漸く取れた仕事時間、十数時間をモニタの前で過ごしました。
嫌な汗をかきながら髪振り乱して(比喩じゃなく)。

それでもなんとかけりが付いた原稿を保存したとき18時。
間に合う。
もう化粧もせず着の身着のままでさいたま新都心に向かう電車に飛び乗ったのです。
メガネビジョンを聴くためだけに。



彼らの音楽をはじめて聴いたのは、ちょうど1年前の宇都宮でした。








真っ直ぐでも荒削りな音。
ゴリゴリのトマトは青過ぎてまだ食べられないよと、
それにしてもなんて泥臭い若者たちなんだ!!!
と思った。

のを覚えています。



でも、その後何度も「もののついで」に見てしまう彼らのステージ毎に、
私は肩をたたかれ続けるのです。







忘れ物してるでしょ?
だから取りに来たんでしょ?

えっ、

どうして知ってるの?









知らず知らずのうちにフレーズは耳に刻まれ、
見る毎にダイナミックな羽化を繰り返す彼らに惹き込まれ、

通算5回目か6回目になる昨日、
私は巨大な段ボール箱を目前に突きつけられている自分を見たのでした。

箱の中身はわかっている。

マボロシ



マボロシ




あなたにも、きっと、
心当たりのひとつやふたつ、あるでしょう。

封印したダンボール箱。









「3年も開かなかったら、
いらないのと同じなのだから、
中身は見ずに捨ててしまいなさい」

なんておそうじのテキストに書いてあったって、

そんな杓子定規の言葉は無視してくださいね。

世の中には、
一度捨ててしまったら、最後、
取り返しの付かないものだって、
いっぱいあるのです。






メガネビジョンの『マボロシ』PVは、

本当に泥にまみれた彼らの絶叫するさまが、
胸に詰まる必死さで、
その泥は見ているものの頭上からも降り注ぐようで、
でも実は泥海に頭から突っ込んでいくのは「進んで」であって、
決して誰かのせいにするようなことではないということが、
すがすがしくさえある。

大人になることに躍起になって、
疲れた気持ちのカタルシスになるような映像と音。



こんなふうに、
つんのめりながら私も毎日走っているんです。









そんな「自称大人」の皆さんへ。



受け取って欲しい。

本当は置き忘れたフリをして捨ててしまった、

でもずっと捨てたことを悔やんできた、

あの荷物を。

彼らの音の中から、

拾い出して欲しいのです。







だって昨日あんなにぼろぼろだった私が、
あの声と、
あのメロディと、
あの音楽がために、
今日の月曜を、
生きていられるのですから。



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Author:藤原千秋/フニワラ3。
住まい(かた)専門のライター(など)。
16歳、12歳、8歳の三姉妹を育てています。

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主に、AllAbout以外のお仕事記録を。
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たま~に身辺雑記を綴っています。
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